はじめに:贈った血圧計、使ってもらえていますか
実家の母や父のために血圧計を買った。あるいは、自分の親に贈った。
でも、いつ家に行っても箱が開いていない。 たまに「使ってる?」と聞くと、「うん、まあ」と曖昧に返ってくる。
そんな経験はありませんか。
私自身、まったく同じ経験をしました。これから書くのは、そのとき何が起きていて、最終的に何が転機になって、母が血圧計を続けて使えるようになったかという話です。
私の母は70歳代。普段の血圧は120台と落ち着いているのですが、2〜3年に一度、強いめまいで救急搬送されることがあります。病院で測ると血圧は180を超えていて、医師から「家庭で毎日測って記録してください」と言われたのが、すべての始まりでした。
ただ、そこから素直に習慣になったかというと、ぜんぜんそうではありませんでした。
💭 私の母も、最初は血圧計を嫌がっていました
医師の指導があったので、母も「測らなきゃいけない」とは思っていました。
それなのに、しばらくして実家に行くと、血圧計はリビングの棚の隅に追いやられて、薄くホコリがかぶっている。母に聞くと「使ってるよ」と言うのですが、表情と数字(メモ)が一致していません。
最初は「やる気の問題かな」「言ってもダメだな」と少し苛立った気持ちすらありました。
でも、よく観察してみてわかったのは、母にとっての本当の壁はやる気ではなく、もっと別のところにあったということでした。
📋 親が血圧計を嫌がる5つの理由
私の母のケースに加えて、同じ悩みを抱える知人や、同様の話をネット上で読んでいくと、親世代が血圧計を続けられない理由は、だいたい次の5つに集約されるように思います。
これがうちの母の一番の理由でした。
母は、もともと電子機器が苦手な人です。リモコンのボタンが多いだけで「これ使えない」と言うタイプ。
最初に用意した血圧計は、私から見れば「シンプルなボタン構成」だったのですが、母にとっては:
- 電源ボタンと開始ボタンの違いがよくわからない
- カフ(腕に巻く部分)が正しく巻けているか自信が持てない
- エラーが出たときに、どうリセットすればいいかわからない
- 一度失敗すると、「次もまた失敗するに違いない」と思って手が伸びなくなる
…という状態でした。取扱説明書も「字が小さくて読む気がしない」と言って、最初から諦めていました。
これも、よく聞く理由です。
「もし高かったらどうしよう」「数字を見たら、不安で1日が暗くなる」── そんな声を、知人の家族からも聞きました。
特に、過去に高血圧で叱られた経験がある人や、家族から心配されすぎた経験がある人は、血圧計のディスプレイそのものがちょっとした恐怖の対象になっていることがあります。
数字を見る = 悪い知らせを受け取るかもしれない、という構図になってしまっているわけです。
「あなたはもう、病気を管理する側の人だよ」
そう言われているような気がして、複雑な気持ちになる方もいます。
特にプライドの高い親世代にとって、血圧計を毎日使うという行為は、「自分はもう若くない」という現実を毎朝突きつけられるようなものです。
そして、子供から「ちゃんと測った?」と頻繁に聞かれることが、その印象をさらに強めてしまう。
「一回測って、それでどうするの?」
これは、私の母も最初に言っていた言葉です。
毎日測って、数字をメモして、それで何になるのか。誰がそれを見るのか。何かが変わるのか。
「測った数字の行き先」が見えないと、人は続けられません。これは血圧計に限らず、家計簿でも体重計でも同じです。
最後にこれは、親としての矜持の問題です。
「子供に迷惑をかけたくない」「年寄り扱いされたくない」「自分の体は自分で管理したい」
そう思っている親世代は、測った数字を家族に見られること自体に抵抗を感じることがあります。
子供としては「心配だから教えてほしい」のですが、親からすると「自分のペースで管理したい」── このすれ違いが、血圧計を遠ざけてしまうのです。
💡 我が家で、母が続けられるようになった「ある言葉」
ここからが、本題です。
うちの母の場合、いろいろ試しました。一緒に測る、優しく言う、メモ帳を用意する。でも、なかなか続きませんでした。
転機になったのは、母自身が言ったある一言でした。
これを聞いた瞬間、それまで自分が「健康管理のため」「血圧をコントロールするため」と説明していたのが、母にはまったく響いていなかったことに気づきました。
母にとって意味があったのは、「測った数字を、ちゃんと届ける相手」がいるということでした。
「医者に見せる」という、明確な目的を作る
それからは、説明を変えました。
- 「健康のために測ろう」 ❌
- 「血圧を下げるために測ろう」 ❌
- 「次の診察のときに、先生に見せよう」 ⭕
これだけで、母の中で意味がガラッと変わりました。
毎朝の測定が「自分の体と向き合う時間」ではなく、「先生への報告材料を集める時間」になったのです。
そして、診察の日に「先生、ちゃんと毎日測ってきましたよ」と紙を見せられることが、母の中で小さな誇りになっていきました。これは想定外の効果でした。
操作のハードルを下げる(機種を変える)
目的が明確になっても、操作で躓いていたら結局続きません。
母の場合、最初の血圧計はそのまま放置して、別のものに変えました。具体的には:
- ボタン数が少ない ── 電源と測定開始がほぼ一体化している
- 数字が大きい ── 老眼でも一目で読める
- 音声で案内してくれる ── 「カフが正しく巻けています」「測定が終わりました」と読み上げてくれる
特に音声案内の効果は驚くほどでした。最初は「うるさいかな」と思って避けていたのですが、いざ試してみると、母が「正しく巻けている」と確認できるようになり、巻き直しがずいぶん減りました。
電子機器が苦手な親には、「自分の操作が合っているか不安」というハードルがあります。それを機械の側から声をかけて取り除いてあげるのは、思った以上に効きました。
結果ではなく「続けたこと」を褒める
これは私自身の反省でもあるのですが、最初は数値の良し悪しを話題にしすぎていました。
「今日は140超えてるよ、塩分控えなきゃ」
「あら、今日は120台、よかったね」
これだと、母にとって毎日の測定が「審査」のように感じられてしまいます。
途中から、話題を変えました。
- 「今日も測ったんだね、すごい」
- 「もう1週間続いたね」
- 「先生に見せるノート、増えてきたね」
数字ではなく、続けたという行為そのものを見るようにしたら、母の表情が少し変わったように思います。
単発の数字で一喜一憂しない
これは医師からも言われたことなのですが、血圧の単発の数値はあまり当てになりません。
トイレに行った直後、寒い部屋、ちょっとイライラしたあと── そういう状況で測ると、普段より20〜30くらい簡単に変動します。
なので、母には「1日の数字より、1週間の平均」を見るように説明しました。
そうすると、「今朝は150だった!どうしよう!」と慌てる場面が減って、「先週より、少し下がってきたかも」と落ち着いて見られるようになりました。
🔄 それでも難しいなら、機種を見直すのも一案
ここまで読んで、「うちの場合、結局機種が合っていないのかも」と感じた方もいるかもしれません。
最初に選んだ血圧計が合わなかった、というだけのことは、よくあります。「贈り直し」を恥ずかしく思う必要はまったくありません。むしろ、合っていない道具で頑張らせ続けるほうが、親にとってもストレスです。
うちの母のように、操作のシンプルさ・音声案内が決め手になるケースは、本当に多いと思います。具体的に、状況別のおすすめを挙げると:
「操作の不安」が一番大きい場合
→ 音声案内つきの上腕式血圧計が向いています。「正しく巻けています」と声で確認してくれるので、電子機器が苦手な方でも自信を持って使えます。
→ A&D UA-1030T Plus のレビューを見るカフを腕に巻く動作そのものが難しい場合
→ アームイン式血圧計が向いています。腕を筒に通すだけで測定できるので、片麻痺や関節痛がある方でも一人で使えます。
→ オムロン HCR-1902T2 のレビューを見る離れて暮らしていて、家族で見守りたい場合
→ スマホ連携できる血圧計が向いています。測定すると、自動で家族のスマホにも記録が共有されます。「ちゃんと測った?」と聞かなくても、毎日の状況が把握できます。
→ オムロン HCR-7612T2 のレビューを見る🌿 「使わない」のは、ご家族のせいではないかもしれません
血圧計が使われていない状態を見ると、つい「親の意識の問題」「自分の伝え方が悪かった」と考えがちです。
でも、私の経験から言うと、多くの場合は道具と目的の問題です。
- 操作が難しい機種だったこと
- 「健康のため」というぼんやりした目的しか提示していなかったこと
- 結果ばかり気にして、続けていること自体を見ていなかったこと
これらに気づいてからは、母も自然と続けられるようになりました。
もし今、ご実家の血圧計が箱の中で眠っていたら、親御さんを責める前に、機種と目的を見直してみることを、ひとつの選択肢としておすすめしたいです。
どの機種が合うかわからない方へ
「では、結局どの機種を選べばいいの?」と迷う方のために、簡単な質問に答えるだけで、その方に合った機種を提案する無料の診断ツールをご用意しています。
数分で、ご家族にぴったりの血圧計が見つかります。
所要時間:約1〜2分 ・ 登録不要